ピクシブ文芸
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中山七転八倒

中山七里


2月1日  10時、ヤマト便で送られてきた長編のゲラの直し作業に入る。修正点は主に表記の揺れなので20分ほどで終了したが、黄色の付箋が花咲く中、一本だけ青い付箋が挿してあった。 『五体満足』は差別語ではないかというのだ。  僕は考え込んでしまった。穿った見方をすれば差別語と捉えられないこともないだろうが、これがもし差別語なら『健常者』、『健康体』、『金持ち』、『普通』、『一般』、『すくすくと』、『自 …

1月21日 ようやく『ふたたび嗤う淑女』今回分を脱稿、すぐさま「野性時代」連載用原稿加筆分に着手。気がつくと昨日から何も口にしていないことを思い出し、エネルギー補給のために外出する。 本日神保町界隈は〈神田雪だるまフェア〉なるものが開催されており、街のあちこちに雪だるまが鎮座している。ただでさえ寒風吹き荒ぶというのに、更に寒くなる。それでもどこにこれだけいたんだと思うくらい子供たちが集まっている …

1月11日  14時、双葉社にて「ダ・ヴィンチ」誌のインタビュー。三月刊行予定『翼がなくても』に関しての企画で、インタビュワーは『スタート!』の際にもお世話になった河村道子さん。まずインタビューの前に編集局長以下営業部の方々がずらりと勢揃い。こちらは恐縮してコメツキバッタのように頭を下げる。 インタビューでは色々と詳細を訊かれたので、担当編集のYさんにも伝えなかった物語の二項対立やら、何故この物語に …

1月1日  あけましておめでとうございます。  という訳で早速年賀状を確認すると昨年よりも増えていた。返事を出さねばならないのだが原稿優先だ。果たして時間的な余裕があるかどうか。  息子は明日から練習があるとかで、ひと足早く東京に戻る。その様子を見ていた妻は、 「まるで売られていく牛みたい」と形容した。何だそれは。  11時、同窓会に出掛ける。もう40年近く続いているので恒例行事と化しているのだが、 …

12月22日  印刷所の動いているのが28日までであるため、各出版社から27日までに原稿を寄越せとメールが届く。ううむ、連載はまだ4本も残っているのだが。いかん。これより6日間は食事の時間も惜しんで書かなければ到底間に合わないではないか。そう言えば物書きになってからは一度としてゆったりした年末を過ごしたことかない。いつも綱渡りで、おまけに正月でもずっと原稿を書き続けている。きっと今年もそうなるのだ …

12月9日  13時、『この世界の片隅に』関連書籍の情報を漁って昨日宝島社さんに在庫確認をしたところ、既に重版が決定しているではないか。慌てて担当Kさんに連絡すると、 『今、中山さんに献本の手続きをしているところです』  何と言うか、母親に小遣いをせびった道楽息子のような錯覚に陥る。デビュー版元というのは本当に母親のような存在だなあ。ママ―。  そのままお礼を伝えるだけでは申し訳ないので、数週間前 …

11月26日  10時、築地で遅めの朝食を摂る。創業三十ウン年、市場に近い店なので期待に胸を膨らませたのだが、取り立てて言うほどのことはなし。  東京で暮らし始めてからこういうことが結構多い。大阪なら二週間で廃業に追い込まれるような店が「老舗だから」とか「有名人が訪れる」とかの理由でずっと潰れずにいるのだ。一度、古の文豪が通ったという天ぷら屋にも行ったが、正直味はそれほどでもなかった。困ったのが天ぷ …
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