ピクシブ文芸
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連載記事

2016年12月7日更新


市川真人
第3回 芥川賞はなぜ村上春樹に与えられなかったか
 それから十二年後、『人間失格』を三回に分けて発表しながら入水自殺した彼がみずからの死を思う過程で、かつて芥川賞があれば「どんな苦しみとも戦つて、生きて行けます」と書簡にしたためたことを思い出したかどうかは、むろん定かではありません。ただ、同時期に書かれて死後発表されたエッセイ「如是我聞」の最終回で、かつての川端と同様に自分を蔑んだ志賀直哉に向け、「君について、うんざりしていることは、もう一つ …

2016年12月1日更新


中山七里
10月1日  妻と娘3人で広島・宮島へ。3人が揃うことは滅多にないので、これを機会にと娘が計画してくれた。  まず広島駅のレストランでカキ尽くしを味わう。旬ではないにしても(カキの解禁は2日後だ)やはり本場ならではの味。堪らん。宮島に渡り、商店街で更に焼きガキを堪能し続ける。ふと気づけば本日はカキしか口にしていない。昨夜のスッポンといい、そんなに精力つけてどうするつもりだ。  決まっているではないか …

2016年11月24日更新


市川真人
第2回 芥川賞はなぜ村上春樹に与えられなかったか
 とはいえ、芥川賞が誕生した当初は、それとはまったく逆の状況がありました。 「芥川賞はなぜ村上春樹に与えられなかったか」を検討する前に、もう少し、賞そのものについて見てゆきましょう。芥川賞と直木賞を考案・創設した、作家であり「文藝春秋社」の創立者でもある菊池寛は、エッセイのなかでこんなふうに書いています。    芥川賞・直木賞の発表には、新聞社の各位も招待して、礼を厚うして公表したのであるが、 …

2016年11月15日更新


中山七里
9月20日  台風が接近しているせいで朝から大雨。気候に関係なく仕事を進められるのが自由業の数少ない特権の一つ。低気圧で頭が痛くなる人も多いそうだが、こちとらそんな繊細な神経は持っちゃいねえや。  12時30分、かかりつけの歯医者に赴くと、いつもカウンターに置いてある僕の著作が二冊ほどなくなっている。先生に理由を訊ねると、 「中山さんの本を置いていたら、患者さんから貸し出しの要望がありまして。好評な …

2016年11月10日更新


近藤勝重
藤沢周平に学ぶ「濡れ場」の描写
 村上春樹氏は『村上さんのところ』で読者の質問(メール)にこんなコメントをしています。 「僕は一時期、藤沢周平さんの小説にはまりました。ずいぶん読みましたよ。面白いし、文章もうまいし。戦後の日本の小説家の中では、安岡章太郎さんと並んで、いちばん文章のうまい人じゃないかな」  村上作品とはまるでジャンルの違うところから挙がった名に戸惑いを覚える方もいらっしゃるでしょうね。藤沢ファンのぼくには何 …

2016年11月1日更新


中山七里
9月5日  執筆途中、三友社Mさんより電話あり。新聞連載『護られなかった者たちへ』、あと八日分について、今日中に書き上げる旨を伝える。先方はラストも近いので十日分ずつでもいいとのことだったが、やはりひと月分毎にゲラ確認した方が落ち着く。  更に実業之日本社Kさんからも電話あり。 『来月号のJノベルから新連載開始の広告を打っていいですか』  元より八日までに第一回目の原稿を渡すつもりだったので、僕 …

2016年10月31日更新


市川真人
第1回 芥川賞はなぜ村上春樹に与えられなかったか
第1回 芥川賞の力 「もし芥川賞をとれたとして、それからどうなるんですか?」と天吾は気を取り直して尋ねた。 「芥川賞をとれば評判になる。世の中の大半の人間は、小説の値打ちなんてほとんどわからん。しかし世の中の流れから取り残されたくないと思っている。だから賞を取って話題になった本があれば、買って読む。著者が現役の女子高校生ともなればなおさらだ。(…)」(『1Q84』)   「小説の値打ち」がな …
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